2012年6月8日金曜日

阿賀野川河川敷の汚染状況


阿賀野市小浮‎河川敷

阿賀野川河川敷の汚染状況

   阿賀野川河川敷の放射性セシウムによる汚染状況を把握するため、阿賀野川上流から下流に向かって河川敷内の5地点(①〜⑤:地図参照)から堆積泥を採取し、天日乾燥後にγ線放射能モニター(ATOMTEX製AT1320A)を用いて放射能濃度(Bq/kg乾燥土)を決定した。 その結果、5地点のいずれの堆積泥からも福島第一原発事故由来の放射性セシウム(セシウム137+セシウム134)が検出され広範囲の阿賀野川河川敷が汚染されていることが明らかとなった。

河川敷堆積物採取地点

試料採取地点 ① 阿賀野市草水河川敷(水辺側)
② 安田橋運動公園の河原(水辺側)
③ 阿賀野市小浮‎河川敷(水辺側)
④ 阿賀野川総合運動場脇休耕地(堤防側)
⑤ 新潟市北区‎灰塚‎排水桶管(堤防側)

新潟市北区‎灰塚‎排水桶管

河川敷内に堆積し表面に露出している粘土層(0〜約5cm)を採取し、天日乾燥後にふるいにかけ、小石や雑草等の異物を取り除いて測定用試料とした。

放射性セシウム濃度
地点① 6/05採取 154 Bq/kg(乾)
地点② 5/25採取 196 Bq/kg(乾)
地点③ 6/05採取  152 Bq/kg(乾)
地点④ 5/30採取 152 Bq/kg(乾)
地点⑤ 5/30採取 236 Bq/kg(乾)※

※地点⑤(写真参照)では、平成23年7月の福島・新潟豪雨で堤防上部に堆積した泥が現在まで取り残されていたと思われます。

阿賀野川河川敷で見られる堆積物は、目の細かい砂と粘土質が混ざったもので、それらの混合比が異なる層が幾重にも重なっている状況が観察されました。
草水河川敷泥 広い河川敷では水辺付近や水辺と堤防との中間地帯では、通常の増水により冠水と乾燥が繰り返されるため複雑な堆積層構造になっています 一方、堤防に近く比較的高い位置にある採取地点④や地点⑤では、平常時には冠水することがないが、大雨で異常増水した場合にのみ冠水するため(放射性セシウム濃度が高い)粘土質を多く含む層が取り残され、加えて堤防の内壁に付着した泥が雨により堤防近辺直下に洗い流されて集積したのではないかと考えています。(コンクリート製の堤防内壁と河川敷との境界には多くの場所で泥が集積しているのが観察されている)  堆積物の表層が主に砂で構成されている場所では、放射性セシウム濃度が極端に低い値となっているので、河川敷内の放射性セシウムの表面濃度は均一ではありません。

下図は地点⑤で採取した堆積物のγ線スペクトルですが、汚染の少ない土壌と比べてCs-137とCs-134のピークが明瞭で汚染は確実です。 ただし、放射性セシウムの定量時に妨害となる天然のPb-214などが共存していますので、上記の放射性セシウム濃度が過大評価されている可能性があります(NaIの限界)




γ線スペクトル5


尚、新潟県が実施し、平成24年6月7日に発表された「阿賀野川の河川水、底質及び沖合海底土等の放射能測定結果について」によると、阿賀野川の底質土(泥)に放射性セシウムが吸着し川から海へと放射性セシウムが移動していること。 阿賀野川の岸辺の堆積物には表層からの厚みにより不均一に放射性セシウムが蓄積していることが明らかとなってきました。 また、新潟県が川岸の堆積物を採取している地点が、今回我々が採取した②安田橋運動公園の河原に近い場所で、セシウムの放射能濃度もほぼ同じレベルと考えています(新潟県は乾燥せずに測定していますので放射能値は低めに出ています)。

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