2012年8月5日日曜日

食品類の測定結果

食品類の測定結果

 

試料名 採取日 測定日 放射性Cs合計値
(Bq/kg)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-20 2012-05-20 検出限界未満(<4 .8)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-21 2012-05-21 検出限界未満(<4 .2)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-25 2012-05-25 検出限界未満(<4 .6)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-28 2012-05-28 検出限界未満(<4 .5)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-05-30 2012-05-30 検出限界未満(<4 .3)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-06-22 2012-06-22 検出限界未満(<4 .3)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-07-07 2012-07-07 検出限界未満(<4 .0)
水道蛇口水(阿賀野市) 2012-08-01 2012-08-01 検出限界未満(<3 .8)
天然水南アルプス(サントリー) スーパー購入 2012-07-01 検出限界未満(<3 .8)
新潟県産こしいぶき スーパー購入 2012-07-07 検出限界未満(<3 .5)
コシヒカリ(新発田市) スーパー購入 2012-05-18 検出限界未満(<4 .0)
たけのこ(阿賀野市) スーパー購入 2012-05-21 検出限界未満(<9 .6)
ジャガイモ(胎内市) スーパー購入 2012-08-01 検出限界未満(<4 .1)
オレンジ(カルフォルニア) スーパー購入 2012-05-28 検出限界未満(<4 .6)
麦茶パック(ひたちなか市) スーパー購入 2012-08-03      11


スーパー購入の「麦茶パック」から、11 Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。 麦茶の原料となる「二条大麦」「六条大麦」は、栃木、茨城、群馬等の関東地方と九州、北陸で生産されており、茨城県の検査によると「平成24年度産大麦」は検出限界値以下ですが、福島原発事故直後の「平成23年度産大麦」から放射性セシウムが検出されています。

「麦茶パック」のメーカーに該当商品の原材料及び生産年、放射能検査体制を問い合わせたところ、該当商品は「茨城県平成23年度産大麦」を使用しており、麦茶原料麦に関しては全国麦茶工業組合および自社にて独自検査を実施しているとの回答がありました。

通常、麦茶は「麦茶パック(約10グラム)」を1リットルの水を使用して、水出し・煮出しにて作成しますので、麦茶パック中に含まれる放射性セシウムが全て溶出すると仮定すると、飲料に供する「麦茶」1リットル中に放射性セシウム 0.11 Bqが含まれることになります(実際の溶出率はもっと低いのでセシウム濃度もさらに低くなる)。 いずれにしても、麦類はコメと同様にセシウム汚染が確認されていますので大量に飲料する「麦茶」「麦茶パック」購入の際には原材料の産地確認が必要です。


粉末麦茶
麦茶パック(約50パック)から粉砕麦茶を取り出し、
ミキサーで粉末状に加工した後に、マリネリ容器に充填


全国麦茶工業組合
県内産麦の放射性物質検査の結果 (茨城県) 平成24年(2012)度産
県内産麦の放射性物質検査の結果 (茨城県) 平成23年(2011)度産


 ★連絡先
   あがのラボ (あがの市民放射線測定室) 担当:村上
           0250-62-3102  /  080-3208-6563

   Twitter  : @purplewatch
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2012年7月24日火曜日

湖沼の放射能調査(その1)

湖沼の放射能調査(その1)

 

新潟県は福島原発事故による直接的な放射性セシウム汚染は低かったものの、阿賀野川の上流部に位置する福島県の只見川・阿賀川水系の放射性セシウム汚染の影響を受け続けている。 放射性セシウムは泥成分に吸着し、阿賀野川河川水と阿賀野川から取水したかんがい用水と共に下流域に移動し、水田・畑・湖沼などに及んでいると考えられるが、その実態は充分に調査されていないのが現実です。

あがのラボでは、今後も長期間継続すると思われるセシウム汚染の影響を予測するために、現時点での汚染の実態を把握する必要があると考えて、これまでに「阿賀野川河川敷堆積物」「用水路堆積泥」などを調査してきました。 今回は、泥成分が沈降しやすい湖沼を対象に放射能調査を実施しました。   調査した地点は、かんがい用水と一般河川水が混合流入している内沼(新潟市北区)十二潟(新潟市北区)、かんがい用水の直接流入が認められない瓢湖・さくら池(阿賀野市)及びじゅんさい池(阿賀野市)


採取地点



より大きな地図で 湖沼の放射能調査 を表示

 

測定結果

 

直接にかんがい用水の流入が認められない①瓢湖②瓢湖・さくら池(人工池)③じゅんさい池(ため池)では、堆積物中の放射性セシウム濃度は「検出限界未満」〜31 Bq/Kg(乾燥泥)と予想されたように低い値でした。 ただし、NaIシンチレーション測定器を用いたγ線スペクトル上にCs-137と共にCs-134のピークが明確に確認できないので、放射性セシウム汚染の原因が福島原発事故に起因するかは判断できませんでした
汚染度が低く「検出限界未満」となった②瓢湖・さくら池に関しては完全閉鎖系でその水源は天水(降雨)のみですが、①瓢湖と③じゅんさい池には河川水や沢水の流入が認められますので、今後も放射能濃度の継続測定が必要と考えています。

   かんがい用水と一般河川水の流入が認められる④内沼⑤十二潟では、閉鎖系と比べて汚染度が高くなっていると予想していましたが、実際には77 Bq/Kg(乾燥)と「検出限界未満」という低い値に留まっています。 ④内沼と⑤十二潟の底質泥を採取できる場所が流出口付近に限定されたため、沼や潟の上流部や中央部の底質泥汚染の程度は未調査なので断定できませんが、面積の狭い④内沼では水域の広い⑤十二潟よりセシウム汚染が進行しているものと考えられます。   

測定結果


さくら池周回水路の汚染状況

 

瓢湖さくら池周回水路のセシウム汚染が明らかとなりました

図に示したように瓢湖の4つの池(瓢湖本池、東新池、さくら池、あやめ池)を縦貫してかんがい用水路が流れていますが、直接に用水路水は瓢湖には流入していません。 しかし、用水路からの取水栓が中央部に存在し、さくら池周回水路にかんがい用水の一部が流れていることが分かりました。

  周回水路の上流部から下流に向かってA、B、C地点から堆積泥を採取し測定したところ、いずれの地点からも放射性セシウムが検出され、しかも下流部の方が高濃度に汚染されていることが判明しました。

この周回水路ではかんがい用水路と比べて極端に流れが悪くなるため、放射性セシウム吸着泥が堆積しやすい環境にあるものと考えられます。
上流部より下流部の方が放射能濃度が高くなっているのは、去年の福島原発事故直後に堆積した高濃度に汚染された泥が徐々に下流に移動したためと推測しています。

さくら池周回水路の下流部は住宅に隣接していますので、住民への注意喚起が必要と考えます。


      (A地点):さくら池周回水路堆積泥  138 Bq/kg 
    (B地点):さくら池周回水路堆積泥  307 Bq/kg 
    (C地点):さくら池周回水路堆積泥  484 Bq/kg



瓢湖採取地点

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   あがのラボ (あがの市民放射線測定室) 担当:村上
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2012年7月3日火曜日

かんがい用水路の堆積泥調査

かんがい用水路の堆積泥調査



  あがのラボでは、農業用水路を経由した「放射性セシウム汚染泥」の移動実態を調査するために、阿賀野川や小阿賀野川の水を灌漑用水として配水している阿賀野川土地改良区、新津郷土地改良区、亀田郷土地改良区が管理する地域を調査対象に選び、流れの緩やかな終末部の農業用水路に堆積している「用水路泥」を採取して放射能測定を実施しました。

  その結果、採取した全ての「用水路堆積泥」から放射性セシウムが検出され、阿賀野川から用水路を経由した放射性セシウムの移動拡散が確認された。

 

 

サンプリング地点と測定法

 

地図に示したサンプリング地点(①〜⑥)から採取した用水路堆積泥を天日乾燥後にふるいにかけて小石等の異物を取り除き、1リットルのマリネリ容器に充填してNaIシンチレーションカウンター(AT1320A)で5,000秒測定し放射能を決定した。 セシウム放射能濃度はCs-137とCs-134の合算で表記。 検出限界値は、それぞれ Cs-137:5 Bq/kg、Cs-134:3 Bq/kg。

 
◎阿賀野川土地改良区
    ①阿賀野市沖通    :阿賀野川頭首工→右岸幹線用水路(大荒川用水路)
    ②阿賀野市熊堂村新田 :阿賀野川頭首工→右岸幹線用水路(高関用水路)
    ③阿賀野市法柳新田  :阿賀野川頭首工→新江幹線用水路
    ④新潟市北区上大月  :阿賀野川頭首工→西部幹線用水路(長浦1号用水路)
◎新津郷土地改良区
    ⑤新潟市秋葉区東金沢 :阿賀野川頭首工→左岸低位幹線水路
◎亀田郷土地改良区
      ⑥新潟市江南区大渕  :沢海揚水機場→阿賀1号用水路









より大きな地図で 用水路堆積泥採取地点 を表示



測定結果

 

   用水路堆積泥(①〜⑥)から検出された放射性セシウム濃度(Cs-137+Cs134合算)は、161〜371 Bq/kgとなった。
   この値は、阿賀野川の河川水を利用している新潟市満願寺上水場で採取された脱水汚泥中の放射性セシウム濃度や阿賀野川河川敷堆積泥中の放射性セシウム濃度と同レベルであり、際立った濃縮などは観察されていない。 今回採取した用水路堆積泥の堆積時期等の履歴が不明なので、今後の変化を予測することはできないが、阿賀野川底質泥と用水路堆積泥を継続的に測定することで、相関関係を把握できると考えている。

   用水路の多くは一般住民が暮らす住宅地から離れた場所にあり、通常は水で満たされているので用水路内の堆積汚泥からの放射線による一般住民への外部被曝は殆ど問題にならないと考えれる。 しかし、流速が相対的に小さくなり泥の堆積が生じやすい用水路終末部や支線水路において、渇水期の乾燥や人為的な用水路泥の泥上げ作業により放射性セシウム泥の移動・拡散が発生すると予想されるので農作業中の内部被曝防止の観点から注意を払う必要がある。







かんがい用水路堆積泥の放射性セシウム


他県の状況

 

河川水のかんがい用水への利用は他県でも一般的に実施されているが、直接に用水路の堆積泥を測定したデーターはほとんど公表されていない。 環境省は、汚染状況重点調査地域に指定された福島県、岩手県、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県を対象に、河川・湖沼・ダム湖・溜池・海水浴場等の公共用水域の汚染状況を詳細に環境モニタリングしているので、そこから河川底質泥河川敷土壌の数値を抜粋して表にまとめてみました。 一方、汚染度が低く、汚染状況重点調査地域から除外されている新潟県では河川等の公共用水域の詳細な調査は実施されておらず、唯一福島県を源流とする阿賀野川の河川水・底質泥の調査結果のみ公表されているので比較として表に加えてある。







他県との比較(河川泥)


    汚染状況重点調査地域に指定された地域の河川の汚染状況は予想以上で、福島県、茨城県、宮城県に加えて千葉県・埼玉県・東京都を流れる河川の汚染が顕著となっている。 比較的汚染が低いと考えられていた岩手県や山形県でも河川の汚染が進行していることが示されており、多くの地域で河川を介して放射性セシウムの移動が進行していることが伺われる。


   ◎用水路では放射性セシウムが泥に吸着して移動するので、取水はできる限り濁りの少ない時期を選択することが必要特に、雪溶け〜梅雨の季節に用水路水の濁りが顕著

   ◎住宅地や集落に隣接して用水路が配置されている場合に、用水路水が家庭菜園に利用されているケースがある。(家庭菜園の作物は食品中の放射能スクリーニンクの盲点となっている

   ◎用水路の水を部分的に引き込んだ湖沼や一般排水路の側溝では滞留が生じやすく放射性セシウム汚染泥が堆積しやすいので、思わぬ場所に高濃度の放射性セシウムが局在している可能性がある



東日本大震災の被災地における放射性物質関連の環境モニタリング調査:公共用水域(環境省)
阿賀野川の河川水、底質及び沖合海底土等の放射能測定結果について(新潟県)
汚泥に含まれる放射性物質の調査結果について(新潟市水道局)
福島第一原発事故による新潟県への放射能の影響をとりまとめた報告書(Ver.2)(新潟県)
用水路堆積土砂の放射性物質測定結果について(神奈川県山北町)

河川汚泥中の放射性セシウム濃度の経時変化

河川汚泥中の放射性セシウム濃度の経時変化


   福島第一原発事故により放出された放射性物質の中で放射性セシウム(Cs-137, Cs-134)は阿賀野川河川水中の粘土成分(バーミキュライトやモンモリロナイト)に吸着され福島県会津地方から新潟県へと移動していることが明らかとなっています。 阿賀野川の河川水は、流域の市町村の上水道原水として利用されているだけでなく、農業用かんがい用水としても広く利用されていますので、長期にわたる水田への汚染泥の沈着が懸念されています

     新潟市が公表しているデーターを使って、満願寺浄水場(阿賀野川下流域)で採取された汚泥中の放射性セシウム濃度の経時変化をグラフにしてみました。 福島第一原発事故直後の昨年5月末〜6月初頭にセシウム濃度が大きく増加し(ピーク①)、その後急激に減少しますが梅雨の時期にやや増加しています(ピーク②)。 昨年7月に発生した新潟・福島豪雨による阿賀野川水系(阿賀川・只見川)の氾濫による放射性セシウム濃度の増加は観察されず、むしろ減少する結果となっています。 これは、おそらく大量の雨による希釈効果によるものと思われます。 渇水期の夏場には緩やかに減少し、台風が来襲する秋口になると再度上昇しています(ピーク③)。 河川泥に含まれる放射性セシウム濃度の増減は上流域(会津地方)での降雨等による川底の撹拌や、ダムからの調節放流などが影響すると思われますが、詳しいことは全く分かっていません。 現在は、満願寺浄水場付近では河川泥に含まれる放射性セシウム濃度が安定して150〜300 Bq/kg(湿土)のレベルで推移しています。
 
    一方、信濃川水系の戸頭浄水場で採取された河川泥の放射性セシウム濃度変動は満願寺浄水場での変動と異なっています。 福島第一原発事故直後の昨年5月末〜6月初頭に約1,300 Bq/kg(満願寺の1/10程度)を記録したがその後急激に低下し、際立った季節変動も観察されていません。 現在は約50 Bq/kg程度のレベルで推移しています。 阿賀野川水系(満願寺)の放射性セシウム濃度が信濃川水系より高いこと、季節変動を伴うことなどから、上流の高汚染地帯(会津地方)の影響を受けていると考えられ継続的な監視が必要と思われます。


汚泥に含まれる放射性物質の調査結果について(新潟市水道局)



満願寺汚泥放射能レベル(jpeg)


2012年6月15日金曜日

阿賀野川河川敷セシウム汚染マップ(追補)


河川敷セシウム汚染マップ



河川敷堆積物サンプリング地点


① 阿賀野市草水河川敷(水辺側) ② 安田橋運動公園の河原(水辺側) ③ 阿賀野市小浮‎河川敷(水辺側) ④ 阿賀野川総合運動場脇休耕地(堤防側) ⑤ 新潟市北区‎灰塚‎排水桶管(堤防側) ⑥ 阿賀野市下里河川敷(水辺側)(追加)

2012年6月8日金曜日

阿賀野川河川敷の汚染状況


阿賀野市小浮‎河川敷

阿賀野川河川敷の汚染状況

   阿賀野川河川敷の放射性セシウムによる汚染状況を把握するため、阿賀野川上流から下流に向かって河川敷内の5地点(①〜⑤:地図参照)から堆積泥を採取し、天日乾燥後にγ線放射能モニター(ATOMTEX製AT1320A)を用いて放射能濃度(Bq/kg乾燥土)を決定した。 その結果、5地点のいずれの堆積泥からも福島第一原発事故由来の放射性セシウム(セシウム137+セシウム134)が検出され広範囲の阿賀野川河川敷が汚染されていることが明らかとなった。

河川敷堆積物採取地点

試料採取地点 ① 阿賀野市草水河川敷(水辺側)
② 安田橋運動公園の河原(水辺側)
③ 阿賀野市小浮‎河川敷(水辺側)
④ 阿賀野川総合運動場脇休耕地(堤防側)
⑤ 新潟市北区‎灰塚‎排水桶管(堤防側)

新潟市北区‎灰塚‎排水桶管

河川敷内に堆積し表面に露出している粘土層(0〜約5cm)を採取し、天日乾燥後にふるいにかけ、小石や雑草等の異物を取り除いて測定用試料とした。

放射性セシウム濃度
地点① 6/05採取 154 Bq/kg(乾)
地点② 5/25採取 196 Bq/kg(乾)
地点③ 6/05採取  152 Bq/kg(乾)
地点④ 5/30採取 152 Bq/kg(乾)
地点⑤ 5/30採取 236 Bq/kg(乾)※

※地点⑤(写真参照)では、平成23年7月の福島・新潟豪雨で堤防上部に堆積した泥が現在まで取り残されていたと思われます。

阿賀野川河川敷で見られる堆積物は、目の細かい砂と粘土質が混ざったもので、それらの混合比が異なる層が幾重にも重なっている状況が観察されました。
草水河川敷泥 広い河川敷では水辺付近や水辺と堤防との中間地帯では、通常の増水により冠水と乾燥が繰り返されるため複雑な堆積層構造になっています 一方、堤防に近く比較的高い位置にある採取地点④や地点⑤では、平常時には冠水することがないが、大雨で異常増水した場合にのみ冠水するため(放射性セシウム濃度が高い)粘土質を多く含む層が取り残され、加えて堤防の内壁に付着した泥が雨により堤防近辺直下に洗い流されて集積したのではないかと考えています。(コンクリート製の堤防内壁と河川敷との境界には多くの場所で泥が集積しているのが観察されている)  堆積物の表層が主に砂で構成されている場所では、放射性セシウム濃度が極端に低い値となっているので、河川敷内の放射性セシウムの表面濃度は均一ではありません。

下図は地点⑤で採取した堆積物のγ線スペクトルですが、汚染の少ない土壌と比べてCs-137とCs-134のピークが明瞭で汚染は確実です。 ただし、放射性セシウムの定量時に妨害となる天然のPb-214などが共存していますので、上記の放射性セシウム濃度が過大評価されている可能性があります(NaIの限界)




γ線スペクトル5


尚、新潟県が実施し、平成24年6月7日に発表された「阿賀野川の河川水、底質及び沖合海底土等の放射能測定結果について」によると、阿賀野川の底質土(泥)に放射性セシウムが吸着し川から海へと放射性セシウムが移動していること。 阿賀野川の岸辺の堆積物には表層からの厚みにより不均一に放射性セシウムが蓄積していることが明らかとなってきました。 また、新潟県が川岸の堆積物を採取している地点が、今回我々が採取した②安田橋運動公園の河原に近い場所で、セシウムの放射能濃度もほぼ同じレベルと考えています(新潟県は乾燥せずに測定していますので放射能値は低めに出ています)。

2012年6月6日水曜日

川の流れにより移動する放射性セシウム(阿賀野川・阿武隈川)


2012年6月10日(日) 夜10時放送の【ETV特集】で阿賀野市にも関係する「阿賀野川の放射性セシウム汚染の移動」に関する報告がされますので視聴しましょう。

内容は、福島県を水源とする阿武隈川と阿賀野川の上流から下流まで独自調査した結果、阿武隈川では一日当たり1,700億ベクレルの放射性物質が移動しており、川底の土からは6万ベクレル/kgを超える高濃度の汚染が検出された。 阿賀野川支流では放射性物質の量が、雪解けを挟んで大きく跳ね上がり、粘土鉱物と結合した状態で阿賀野川の河口まで移動する実態が浮かび上がってきた。 …という深刻な事実です!

【ETV特集】ネットワークでつくる放射能汚染地図6 川で何がおきているのか
YouTube動画






阿賀野川河川泥
 


あがのラボ(あがの市民放射線測定室)でも阿賀野川右岸(阿賀野市側)の堆積泥を数点採取し調査しました。 その結果、阿賀野川河川敷が放射性セシウムにより広範囲に汚染されていることを掴んでいます(後日まとめて公表します)。 福島県の山林や土壌の汚染が継続する限り、河川による放射性セシウムの移動は今後も継続すると予想されます。 特に、雪解けや梅雨による阿賀野川増水で河川敷の冠水による放射性セシウム蓄積が考えられ、渇水期には放射性セシウムを含む堆積泥が乾燥し風により埃となって周囲に拡散することも考える必要があります。


2012年5月26日土曜日

増え続けるセシウム汚染汚泥

増え続けるセシウム汚染汚泥


     福島第一原子力発電所事故以来、阿賀野市大室浄水場で生じている「放射性セシウムを含む汚泥」の最新検査結果が水道局から発表されました。 大室浄水場では、阿賀野川水系から取水した水道原水中に含まれる浮遊汚泥等を最終的に天日乾燥床にて回収しているため、汚成分に強く吸着している放射性セシウム(セシウム137+セシウム134)が天日乾燥床に蓄積することになります。




浄水発生土に含まれる放射性物質の調査結果


     福島第一原子力発電所事故発生時に運用していた天日乾燥床(No.1とNo.2、[4つの天日乾燥床の内、2つのペアでローテション運用])には高濃度(10,000 Bq/kg以上)の放射性セシウムが検出されました、 その後に運用した天日乾燥床(No.3とNo.4)からは、2桁低い濃度で検出され、減少傾向が見られていましたが、次に運用した天日乾燥床(No.1とNo.2)からは天日乾燥床(No.3とNo.4)と同レベルの濃度の放射性セシウムが検出されており、ほとんど変化していません! 阿賀野川水系の魚や河川底泥、更には流出河口や海底泥から放射性セシウムが検出されていますので、今後も福島県側からの放射性セシウムの移動が続くことが予測されています。

     ちなみに、これまでに阿賀野市大室浄水場敷地内に保管されている放射性セシウム量は、総量で約20憶ベクレルと推計され、今後も増え続けることが危惧されています。


天日乾燥床      運用期間          放射性セシウム(Cs-134+Cs-137)濃度
  No.1   平成22年11月29日〜平成23年05月25日       10,000 Bq/kg
  No.2   平成22年11月29日〜平成23年05月25日       10,300 Bq/kg 
  No.3   平成23年05月26日〜平成23年08月18日        145 Bq/kg
  No.4   平成23年05月26日〜平成23年08月18日        460 Bq/kg
  No.1   平成23年08月15日〜平成23年12月15日       ※140 Bq/kg →130 Bq/kg(訂正値)
  No.2   平成23年08月15日〜平成23年12月15日       ※146 Bq/kg 
  No.3        運用中
  No.4        運用中  
           ※天日乾燥中の数値。水分蒸発により放射性セシウム濃度が変動することがある。
           ※天日乾燥床No.1の放射性セシウム濃度に訂正がはいりました。(2012/6/5)


 浄水発生土に含まれる放射性物質の調査結果について [pdfファイル](阿賀野市水道局 2012/05/23)


課題
①セシウム汚染汚泥の保管容量に限界がある。
②天日乾燥床の乾燥中や乾燥汚泥の集積作業中に風などにより周囲へ飛散する危険性がある。
③天日乾燥床から保管場所への集積移管作業中に作業員の被曝(内部被曝)の危険性がある。




大室浄水場

阿賀野市線量マップ(暫定版)

阿賀野市線量マップ(暫定版)

土壌と河川水のサンプリングのついでに、地上1m高の空間線量率(μSv/hr)を各地点で測定しました。 市街地、水田地帯、五頭山麓での空間線量率に大きな差異は認められませんでした。

使用機器:シンチレーションサーベイメーター TCS-172B
 ※測定値は、測定日時、天候等によるバラツキが生じますので、あくまでも参考値とお考え下さい。

※京ヶ瀬の一部地域のデーター追加(5/31)
※京ヶ瀬、分田地区の一部地域のデーター追加(6/3)






より大きな地図で 阿賀野市空間線量率分布 を表示


2012年5月22日火曜日

測定結果のまとめ

測定結果のまとめと問題点


  ①γ線放射能モニター(ATOMTEX製AT1320A)導入から1週間を経過し、あがの市民放射線測定室(あがのラボ)では、γ線放射能モニターの性能把握と測定練度を高めるため下記の様々な測定試料を検査してきました。 結果としては、いずれの検体からも放射性セシウムや放射性ヨウ素(減衰により既に消滅)による汚染を検出できていません

◎食品類: 米(新発田市産)、タケノコ(阿賀野市産)、オレンジ(カルフォルニア産)
◎水試料: 水道蛇口水(阿賀野市)、瓢湖湖水(表面水)
◎土壌類: 土壌(雨どい直下)、砂(雨どい直下)、粘土層(瓢湖湖底)
◎その他: 豆炭焼却灰、松葉(落ち葉)


  ②測定を通じて放射性セシウムや放射性ヨウ素の誤検出も確認されています(γ線スペクトル上で確認できないのにメーカー提供の解析プログラムを用いると検出されてしまう現象)

  その原因は、1) 福島県や関東地域と比べて阿賀野市の汚染度が極端に低いこと。2)試料中に存在する天然放射性核種が放射性セシウムや放射性ヨウ素の妨害となっている等が考えられます。
 (福島県や関東地域などの放射性セシウムによる汚染度の高い検体測定では、天然放射性核種よりも放射性セシウムの相対的濃度(比放射能)が大きいので、現在のところ天然放射性核種による妨害は小さいと報告されています。)

   阿賀野市の五頭山系は有名な花崗岩地帯で安田地区から採れる花崗岩(御影石)は草水石(ソウズ石)として全国的に有名! また、村杉温泉や今板温泉はラドン温泉(温泉中に地下岩石から溶け出したラドン(Rn-222 天然、ウラン系列)やラジウム(Ra-226 天然、ウラン系列)を含む)として有名です。 阿賀野市の土壌は花崗岩の風化によってできていると考えても過言ではないでしょう!


対象核種とγ線エネルギー   妨害核種とγ線エネルギー
I-131 0.364 MeV       Pb-214 0.352 MeV (天然、ウラン系列)
Cs-134 0.569 MeV        Tl-208 0.583 MeV (天然、トリウム系列)
Cs-134 0.605 MeV      Bi-214 0.609 MeV (天然、ウラン系列)
Cs-137 0.662 MeV
Cs-134 0.796 MeV      Bi-214 0.768 MeV (天然、ウラン系列)
       ※MeV(エネルギーの単位) =メガ(10の6乗)エレクトロンボルト(電子ボルト) 


  ③阿賀野市の自然計数(バックグラウンド)のかなりの部分が花崗岩由来の天然放射性核種からの放射線によると思われますので、放射線測定器で線量(μSv/h)測定する際には周囲に岩石等があると影響が出ますので十分な注意が必要です。 室内での線量が0.07〜0.10(μSv/h)でも庭石の上では〜0.20(μSv/h)、花崗岩でできた石灯籠の中では0.25(μSv/h)も計測されています。